高齢者事故の原因No.1は操作ミス!事故防止におすすめの対策5選
近年、交通事故の件数は低下しているものの、高齢ドライバーによる事故は増加傾向にあります。
「うちにも高齢者がいるけれど、事故を起こしてしまったらどうしよう」
「免許の返納をすすめたいけれど、ケンカになるのもイヤだし…」
このような悩みを抱えている方は、少なくありません。
そもそも、高齢ドライバーによる事故は、どのようなことが原因で起きるのでしょうか。
また、高齢ドライバーによる事故を防ぐために、なにかできることはないのでしょうか。
この記事では、高齢ドライバーによる交通事故に関する下記のようなポイントについて、詳しくご説明します。
この記事のポイント |
・ 高齢ドライバーによる交通事故の原因TOP3 |
1. 高齢ドライバーによる交通事故の原因TOP3
75歳以上の高齢ドライバーが起こした死亡事故の原因の中でも特に多いのが、下記の3つです。
高齢ドライバーによる重大事故はどうして起きるのか、まずはその原因から見ていきましょう。
1-1. 事故原因ワースト1|操作ミス
高齢ドライバーによる事故原因の中で最も多いのが、「運転操作ミス」です。
具体的には、”ハンドル操作のミス”や”ブレーキとアクセルの踏み間違い”などがこれにあたります。
下の図を、ご覧ください。
(警察庁『令和4年における交通事故の発生状況について』をもとに作成)
75歳以上の高齢ドライバーが起こした事故のうち、30%以上が運転操作ミスによるものであることがわかります。
一方、75歳未満のドライバーの場合、運転操作ミスが原因で起きた事故は全体の13.4%程度です。
「運転操作ミスによる事故が多い」というのは、高齢ドライバーが起こす事故の特徴、といっても過言ではないでしょう。
人は年齢を重ねると、”うっかり”や”勘違い”などによるミスが増えがちです。
高齢ドライバーによる事故を減らすには、ここに焦点を当てた対策をする必要がありそうですね。
1-2. 事故原因ワースト2|漫然運転による前方不注意
高齢ドライバーによる事故原因の中で2番目に多いのが、漫然運転による前方不注意です。
「漫然運転」とは、注意力や集中力が低下した状態で、車を運転することをいいます。
漫然運転の具体例 |
・ 頭がぼーっとしている状態で、運転する ・ 他に考え事をしながら、前方をよく見ないまま運転する |
このような状態で運転しては、事故を起こすのも無理はありません。
漫然運転による前方不注意は、高齢ドライバーだけでなく、75歳未満のドライバーによる事故原因第2位でもあります。
そういった意味において「前方不注意」は、車を運転する全てのドライバーが解決すべき課題と言えるでしょう。
1-3. 事故原因ワースト3|安全不確認
高齢者による事故原因の中で3番目に多いのが、安全不確認です。
「安全不確認」とは、”前方・後方不確認”や”左右不確認”と呼ばれることもあるもので、具体的には、下記のような状態のことをいいます。
安全不確認の具体例 |
・ 交差点を右折する際、左側の歩行者に気を取られて右折先の歩行者に気づかなかった ・ 運転中、見せの看板に気を取られ、前方をよくみておらず追突してしまった |
ちなみに、「安全不確認」は、75歳未満のドライバーによる事故原因No.1です。
高齢ドライバーだけの問題として捉えるのではなく、車を運転する全てのドライバーの課題だと考え、どう防げばいいのか考えていく必要がありそうですね。
2. 高齢ドライバーの運転が危険な理由3つ
操作ミスや前方不注意など、様々な原因によって引き起こされる高齢ドライバーの交通事故。
「高齢ドライバーの運転が危険」というのは様々なデータによって裏付けられている”事実”ですが、その根本的な原因としては、下記のような点が挙げられます。
高齢ドライバーによる事故を防止するための対策について考える前提として、まずは、”どうして高齢ドライバーの運転が危ないのか”という点について考えてみましょう。
2-1. 視力低下によって距離感覚が鈍る
人は加齢とともに、少しずつ視力が低下していきます。
目から入ってくる情報はとても多く、視力が低下すると、運転に関して下記のような影響が現れます。
視力低下によって現れる運転への影響 |
・ 車や自転車、歩行者が近づていることに気づかず、「突然飛び出してきた」と感じることが増える ・ 夜間の運転中、前方のブレーキランプや信号がぼやけて見えたり、小さく見えたりする ・ 信号や標識に気づかないことが増えた ・ 車線変更が難しくなってきた |
人は、目から入ってきた情報を脳で処理し、行動します。
目から正しい情報が入ってこないのでは、その次にどう行動するのか、判断のしようがありません。
その結果、交通事故を起こしてしまうことがあるのです。
2-2. 認知機能・反射神経の低下によりとっさの動きができない
加齢に伴う認知機能や反射神経の低下も、高齢ドライバーの運転が危ないとされる原因です。
人は、目から入った情報を脳で処理し、適切な判断をし、行動します。
例えば、運転中に子供が飛び出してきた場合、
① 子供が飛び出してきたのを見る
② 「ブレーキを踏んで危険を回避しよう」と判断する
③ ブレーキを踏む
というプロセスを経て、交通事故を回避します。
ところが、認知機能が低下していると、子供が飛び出してきた時にどうすれば危険を回避できるのか、適切な判断ができません。
また、適切な判断ができたとしても、そのプロセスに通常よりも多くの時間を要します。
その結果、ブレーキを踏むことができず、交通事故を起こしてしまうのです。
また、認知機能に問題がなくても反射機能が低下していると、「ブレーキを踏まなければ」と判断できても、その後、速やかに行動できず、事故につながってしまうことがあるでしょう。
2-3. 体力低下によって集中力が続かない
加齢に伴う体力低下も、高齢ドライバーの運転が危ないといわれる原因のひとつです。
人は体力が低下すると、運転に関して下記のような影響が現れます。
体力の低下によって現れる運転への影響 |
・ 体力の低下によって集中力が続かず、前方不注意や安全不確認が増える ・ 体力の低下によって疲れやすくなり、運転操作ミスのリスクが高くなる |
こういった状態で運転をするのは、非常に危険です。
3. 高齢ドライバーによる事故を防ぐためにおすすめの対策5選
「高齢ドライバーの運転は危険」といっても、田舎に住んでいると車なしでの生活は難しいですし、高齢になっても自分で運転せざるを得ない、という方は少なくありません。
そういった方とそのご家族にぜひ意識していただきたいのが、下記5つの対策です。
高齢ドライバーによる事故を防ぐにはどうすればいいのか、さっそく見ていきましょう。
3-1. 運転について家族と話し合う
高齢ドライバーやそのご家族で、下記に思い当たることはありませんか?
ひとつでも当てはまるものがあれば、家族や友人に、自分の運転についてどう思うか、どう感じるか、聞いてみましょう。
耳が痛い言葉が返ってくる可能性もありますが、それが、あなたの運転に対する客観的な評価です。
周囲の意見を聞くことは自身の運転を見直すきっかけになりますし、それを踏まえて今まで以上に慎重な運転をすれば、交通事故のリスクを軽減できるでしょう。
▶ご家族の方へ
ご両親の運転に不安がある場合、「運転させない」つまり、免許の自主返納をすすめるのも選択肢のひとつです。
ただ、それは簡単なことではありませんし、言い方を間違えれば、相手の自尊心を傷つけてしまいます。
ご両親と運転について話し合う際は、下記のようなポイントを意識してみてください。
運転について話し合う際に意識すべきポイント |
・ 高齢ドライバーが起こした重大事故のニュースについて話す ・ 免許を返納することで得られるメリットを伝える ・ 車の維持費を算出し、車を手放すことで浮くお金を趣味などに使ってはどうかと、すすめる ・ 両親が通院している病院の医師に相談し、客観的な意見をもらう |
話し合いでは、頭ごなしに否定せず、相手に理解を示しながら不安を取り除き、寄り添いながら一緒に対策を考えることが大切です。
3-2. 定期的な眼科検診で視力の低下をチェック
「2. 高齢ドライバーの運転が危険な理由3つ」でご説明したように、高齢者は視力の低下が著しく、それが原因で交通事故を起こしてしまうことがあります。
そこでぜひ実践していただきたいのが、定期的に眼科検診を受ける、という対策です。
加齢に伴う視力低下は徐々に進行するため、本人に自覚がないことも少なくありません。
ただ、自覚はなくても症状は確実に進行しますし、それによって運転はもちろん、日常生活にも様々な影響が出てきます。
この点、定期的に視力検査や眼底検査を受けていれば視力低下の早期発見が可能ですし、問題がありそうならば運転をいったん止めて、治療を受けたうえで再開する、という方法もあります。
少なくとも半年に1回程度は眼科検診を受け、ご自身の視力がどういう状況にあるのか、確認しましょう。
3-3. 不安があるときは運転を控える
体調が悪かったり、何か心配なことがあるなど、「おかしいな」「怖いな」と思うときは、運転を控えましょう。
不安を抱えたまま運転すると、安全不確認や前方不注意などによる事故発生のリスクが高まります。
特に、下記のような場合は無理に運転せず、公共交通機関やタクシーの利用をおすすめします。
・ なんとなく、体調が悪い気がする
・ 目的地が遠方で、車を運転していくことに不安がある
・ 自身や家族のことで、悩み事がある
3-4. 高齢者マークをつける
高齢ドライバーによる事故を防ぐには、「高齢者マークをつける」という対策も効果的です。
「高齢者マーク」は、70歳以上のドライバーが運転する車につけるもので、”もみじマーク”と”よつばマーク”の2種類があります。
高齢者マークを付けていると、周囲のドライバーや人が「この車の運転手は高齢者だ」と認識できるため、慎重に対応してもらえる可能性が高くなります。
運転にもたついていても、あおられたりクラクションを鳴らされたりしにくいため、「慌てて運転操作を誤る」といったことが起きにくくなるはずです。
高齢者マークをつけないからといって罰則はありませんが、事故防止のため、70歳がきたら自主的につけることをおすすめします。
3-5. サポカー(安全運転サポート車)に乗る
「運転を控えることは難しい」
「交通の便が悪いため、車がなければ生活がままならない」
というように、どうしても運転せざるを得ない場合は、サポカーへの乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。
「サポカー」とは、「セーフティーサポートカーS」の略で、安全運転をサポートするために下記のような機能が搭載されている車のことを言います。
・ ペダル踏み間違い急発進抑制装置
・衝突被害軽減ブレーキ
・ 自動切替型前照灯…ハイビームとロービームを自動で切り替え
・ 交差点安全支援機能
・ アラウンドビューモニター
サポカーを積極的に活用することで、交通事故を起こすリスクの大幅な軽減が可能です。
運転するなら自動車保険への加入をお忘れなく!
高齢ドライバーが事故を起こす主な原因は、操作ミスや前方不注意、安全不確認などにあります。
人は年齢を重ねると、視力や認知機能、反射神経が低下するため、こういったミスを起こしやすいのも無理はありません。
そこでおすすめしたいのが、下記のような対策です。
これらの対策により、高齢ドライバーの運転に伴うリスクを、大幅に軽減できるでしょう。
そして、車に乗るならば、自動車保険への加入を忘れてはなりません。
弊社では、各種自動車保険を取り扱っています。
ご高齢の方へ運転に関するアドバイスをしたり、ご家族との話し合いに同席したりすることも可能ですので、お気軽に御相談下さい。
お問い合わせ先 有限会社フレンズ保険事務所 【TEL】0898-35-2555(平日9:00~17:00) |